はじめてのフィールドワークに挑戦して
こんにちは!西武学園文理高等学校のクリエイティブクラスです!
西武文理高校では今年度から「従来の日本の教育に縛られない新しい教育を創り出すためのクラス」としてクリエイティブクラスがスタートしました。
クリエイティブクラスでは、自分たちの学びを「主体的」かつ「協働的」にするために、入学式の次の日からオリエンテーション合宿を実施しています。
今回の記事はオリエンテーション合宿最大のイベントである2日目の「自主研修」の様子をクリエイティブクラスの担任から紹介します。
自主研修とは
オリエンテーション合宿の自主研修は「丸一日の研修内容と場所を自分たちで決めて実施する」ことが最大の特徴です。
入学式で出会ったばかりの仲間と、折り合いを付けながら、自分たちで一日をどのように過ごすのかということを考えます。
「出発時刻」「定時連絡」「帰着時刻」のルールとマナーを守ることだけを決めて、それ以外の全てを自分たちで考えてもらいました。
注:定時連絡は前日に登録作業を行った、学校のGoogleアカウントを活用して Googleチャット を活用しています。本校では Googleチャット を日常的に活用しており、海外研修でも有効活用しています。
一日の最後には研修先で撮影してきた写真を3枚選び、自分たちがどのようなことを学んだのかの振り返りの発表を行いました。
さて、いきなり無理難題を与えられた生徒たちは、実際どうしたのでしょうか……?
C1担任 金田先生から見た一日
昨日からオリエンテーション合宿に来ている私たち。
本日は昨日くじ引きで決めたメンバー(原則、男女混合)とともに自主研修を行いました。
8時頃から順次班ごとに出発していき、各班で組んだ行程表に則って各々の目的地へと旅立っていきました。
長瀞、秩父、深谷、川越、加須、浅草…
行き先は宿舎から十数キロのところから百キロメートルくらいのところまで、バラエティ豊かでした。
何かとルールを決めがちな学校という場所ですが、あえて細かいルールは定めずに自由に考えて良いよ、というと色々なアイディアが湧いてくるのですね。
Cクラの生徒たちのポテンシャルの高さを早速見せつけられました。
生徒たちには、「みんなの前でどこに行ったか発表するから、写真をたくさん撮ってくるといいよ」と伝えておきました。
発表するためにはどんな写真を撮れば良いかなぁ
使える面白いネタはないかなぁ
この場所の良さ・楽しさ・雰囲気をみんなに伝えるためには…
夜の振り返り発表会を見て、すぐにわかりました。
生徒たちがどれだけ色々なことを想像し、考えながら自主研修を行っていたのか、ということが。
高校に入学したばかりの生徒たちが自分たちの研修内容を堂々と発表している姿。
自分たちの個性を思う存分に発揮してそれが伝わるように工夫された写真。
そしてそれを真剣なまなざしで聴いている姿。
この子たちはすごい。
素直にそう思いました。
この子たちの成長がより一層楽しみになった、そんな1日でした。
オリエンテーション合宿も明日で最終日。
早寝早起き、よく食べよく寝るをモットーに最終日も駆け抜けていきます!
夜ご飯のヒレカツカレーを食べ過ぎて若干胃もたれしているCクラ担任の金田からでした!
C2担任 吉田先生から見た一日
合宿2日目。
昨日決めた班に分かれて、いろいろな目的地に、それぞれのしおりを持って出発していきました。
出発の時刻も班でそれぞれ。本当に自分たちだけで宿舎を出て行くんだ…と不安そうな表情の生徒もいました。
私と金田先生は車で長瀞の方面の見回りへ。
何かトラブルがあったら助けてあげないとなぁ……そんなことを考えていました。
しかし、実際にフィールドワーク先で出会った研修中の生徒の表情はどの瞬間も生き生きとしていて、「こんなにやれるのか!」と驚かされました。
ルールにしていた定時連絡はどのグループも欠かさず行い、実際の研修先で起こった様々なトラブルにも、ちゃんと相談をしながら安全に、適切に対応していました。
今回の研修では、担任として「こうして欲しい」「ああしなさい」というような指示は全く出しませんでした。しかし、生徒たちは教員からの指示がなくても、必要なことは自ら調べ、対応して、自分たちだけの学びを持って帰ってきてくれました。
夕食後の振り返りでは、自分たちの班が見た景色、得た経験、そして学んだことを自分たちの言葉で語り、発表時間がいくらあっても足りません。
そして、振り返り会が終わる頃には、班以外の全員も、みんなお互いに「仲間」だという意識が確かにあります。
他の人の発言に対して前向きに、肯定的に聴き合い、互いを受け入れ合う姿勢を様々な場面で見ることができました。
そして、驚くべきことに、自ら率先してみんなのためになる行動をする人や提案ができる生徒が次々に出てきてくれたんです。
「先生、こういうことをやってみたいです」
「こういうことをやってあげたいんです」
人を傷つけたり意地悪をしたりするのでなければ、誰かのために何かをしてあげたいと思ったのであれば、どんどんやってください。
周りの仲間も、率先して動き始めた生徒の行動や提案にどんどん協力してくれました。
食堂の片付け、会議室の片付け、友人の誕生日を祝ったり……決して強制・強要する訳ではなく、気付いたら人から周囲の仲間へ……自分たちのクラスをこうしたいという広がりなのだと思います。
そして、賛同できないことに対しては、はっきりとノーと言ってくれましたね。それだけではなく、その「ノー」をちゃんと受け止めて、考えてくれましたね。そういう関係を担任として嬉しく思います。
明日、合宿最終日も非常に楽しみです。
各人がどのように合宿を振り返るか……。
これからの学校生活にどのような想いを持っているか。
伴走者として非常に楽しみにしています。(吉田)
伴走者の一人として、傍から見て
Google for Education認定トレーナー/コーチの資格を活かして、クリエイティブクラスのICTと探究の設計に協力している笠原が最後にこの日の様子について紹介をします。
この「自主研修」の裏話を明かしてしまうと、前日に生徒達が研修計画を出してきた段階で、担任の二人は「これは難しいんじゃないか」と心配している場面もありました。
しかし、このクラスは「生徒を信じて、任せて、委ねる」ということを決意して始めたクラスなので、生徒たちは必ず経験から学ぶということを信じて、生徒の計画に助言をしながらも、最後は生徒たちの提案に任せて、研修日を迎えました。
必要な安全のためのルールだけは徹底して、万が一に備えていつでも教員が対応できるように準備して、あとはできるだけ生徒たちが自分たちで考えてどうにかできるように。
担任たちは生徒たちのポジティブな成功を語っていましたが、実は上手く行ったことばかりではありません。
担任たちの想像が的中して、時間を大幅に余らせてしまった生徒がいたり最初の計画とは全く違うルートにしなければならなくなった生徒がいたりと、本当に色々なことが起こりました。
中には大幅に帰着時間が遅れてしまったグループもありました。そのグループに対しては担任たちはじっくりと膝を突き合わせて「どうしたらいい?」「なにがよくなかった?」「こういうことができたのはよかったね」と、ただ叱るのではなく粘り強く子どもたちに考えることを促していました。
そのグループは夕食の時も「こういうことが良くなかったかも」「こうすればよかったんだ……」とずっと話していて、最後の振り返り発表会の場面では、自分たちの失敗を自分たちの言葉で振り返り、仲間たちへと色々なことを伝えていました。
そして、どのような言葉でも受け入れる生徒たちは、もう「仲間」として、一つのチームになっているように見えます。
この合宿では、色々なよいこともあれば、明らかに失敗に見えることも起こっています。
しかし、本当に学ぶ瞬間とは、失敗してもそこから自分たちで何をしようかと本気で考える時なのかもしれません。
クリエイティブクラスは誰もやっていないことへの挑戦のためのクラスです。だから、安心して失敗してください。失敗しても何度でも挑戦できるように、私たち教員団は伴走を続けますから。
(文責 ICT&探究責任者 笠原諭)